キャリア

SAP未経験からSAPエンジニアへ|人材不足の今がチャンスな理由

目次

はじめに:SAPって「経験者しか入れない世界」じゃない

SAPの求人を眺めていると「ABAP3年以上」「FI/COモジュール経験必須」みたいな条件が並んでいて、別ソリューションでやってきたITエンジニアからすると「これは経験者のための世界だな」と感じやすいんですよね。実際、僕も最初はそう思っていました。

でも今のSAP業界、ぶっちゃけ人材がまったく足りていません。2027年問題(ECC6.0サポート終了)でS/4HANAへの移行案件がピークを迎えていて、各社が頭数を確保しに走っている状態です。結果として、SIerやITコンサル各社が「IT経験はあるけどSAPは未経験」という層をポテンシャル採用で取りに来ています。今回はその話をします。

なぜ今「別ソリューション出身」が狙われているのか

SAPのプロジェクトって、純粋なSAP知識だけじゃ回らないんですよ。実際の現場ではこんなスキルが常に足りていません。

  • データ移行設計(ETL、SQL、データクレンジングの経験)
  • 周辺システム連携(API設計、Integration Suite、ミドルウェア)
  • インフラ/クラウド(BTP、Azure、AWS上のS/4HANA構築)
  • フロント/拡張開発(Fiori、JavaScript、CAPなど)
  • プロジェクトマネジメント全般

これ全部、別ソリューションでやってきた人の方が得意な領域なんですよね。逆に言うと、純SAP畑の人ほどモダンな技術スタックに弱かったりします。だから「SAPは入ってから覚えてもらえばいい、ベースのIT地力がある人が欲しい」という採用方針が主流になりつつあります。

なぜそうなったか(why so)。S/4HANAは単なるERPじゃなくて、BTP・Fiori・Integration Suite・Datasphereといったクラウドサービス群の集合体になっているからです。昔ながらの「ABAPだけ書ける人」では足りず、クラウド経験者の方が即戦力になりやすい場面が増えています。

ポテンシャル採用している会社の例

具体名を出すと、SCSKなんかはわかりやすい例です。ビズリーチに「SAPコンサルタント未経験歓迎」みたいな求人を出していたり、自社メディアでもSAP人材育成について発信しています。他にも大手SIer・ITコンサル各社が「IT経験3年以上あればSAP未経験OK」という枠を持っています。

ポテンシャル採用枠の特徴はだいたいこんな感じです。

観点内容
求められる経験IT実務3年程度、なんらかのプロジェクト経験
入社後1〜3ヶ月の社内研修+OJT、SAP認定資格取得支援つきが多い
配属モジュール適性面談で決まる(FI/CO/SD/MMあたりが多い)
年齢層20代後半〜30代前半が中心、30代後半でも事例あり

なぜこの層が狙われるか(so what)。20代後半〜30代前半は「IT基礎ができていて、かつ吸収が早い」ゾーンだからです。完全未経験よりリスクが低く、ベテラン中途より単価が安い。会社側からすると一番コスパが良い採用ターゲットになります。

別ソリューション出身者が持っていきやすい強み

入社前に「SAPのこと何も知らないけど大丈夫かな」と不安になる必要はありません。むしろ別ソリューションで培った経験は、SAP現場でこういう武器になります。

  • 要件定義・業務ヒアリング経験 → SAPコンサルの中核スキルなのでそのまま使える
  • DBやSQLの知識 → CDSビュー・テーブル分析でいきなり使える
  • API・連携経験 → Integration Suite案件で重宝される
  • クラウド経験 → BTP / S/4HANA Cloud案件で即戦力
  • アジャイル経験 → SAP Activateの反復型導入で活きる

つまり「SAPを知らない」のはマイナスではなく、ただの「これから埋める知識ギャップ」というだけの話です。地力があれば半年〜1年で追いつけます。

入社前にやっておくと有利なこと

別に必須じゃないんですが、面接時に「SAPに興味があります」を具体的に語れると採用確度がぐっと上がります。やっておいて損がないのはこのあたり。

  1. SAPって何のシステムなのか、ERPの基本概念を押さえる(SAP初心者向けガイドあたりを読む)
  2. 主要モジュール(FI / CO / SD / MM / PP)が何を管理するのかをざっくり把握する
  3. S/4HANAとECCの違いを言葉で説明できるようにしておく
  4. Clean Core戦略やBTPなど、最近のキーワードを聞いたことがある状態にする

書籍ベースで体系的に学びたい人向けには、後日おすすめ書籍紹介の記事も書く予定です。

「入ってからきつくない?」という不安への答え

正直に言うと、最初の半年はそれなりにしんどいです。業務知識(会計・購買・販売など)と、SAP独自の用語(伝票・組織構造・カスタマイズ・移送)を同時に覚えないといけないので。ただ、これはどのソリューションに移っても同じで、Salesforce未経験者がSalesforceを覚えるのと負荷は変わりません。

むしろSAPの良いところは、一度覚えてしまえば10年・20年単位で食えるところです。SAPは大企業の基幹システムなので簡単にリプレイスされず、人材需要が長く続きます。短期で覚えて長期で回収できる、という意味でコスパは悪くないキャリアです。

「2027年問題が終わったらSAP需要も終わる?」という疑問を持つ方も多いですが、移行ピーク後の実情と生き残り戦略は2027年問題の「その後」― S/4HANA移行ピーク後にSAP人材はどうなるかで解説しています。AIが業務に入り込む時代にSAPコンサルが何をすべきかはSAP×AI時代のスキルマップで整理しています。

まずは市場感を見るところから始めよう

ここまで読んで「自分でも入れる会社あるのかな」と少しでも思った人は、転職活動を本格的に始める前に、まず転職エージェントに登録して市場感だけでも見ておくのを強くおすすめします。理由はシンプルで、ポテンシャル採用枠は求人サイトの条件文には出てこないことが多く、自分1人で探しているとそもそも入れる会社の存在に気づけないからです。

エージェントに1社登録するだけで、非公開求人として「IT経験○年以上ならSAP未経験OK」みたいな案件が一気に送られてきます。見るだけならノーリスクなので、今の年収や条件と比べて良さそうなものがあれば本格的に動く、なければ寝かせておく、で十分です。

ただ、転職エージェント自体がそれこそ何十社もあって、どこに登録すればいいか分からない、という人も多いと思います。そういう場合は「自分に合う転職エージェントを紹介してくれるサービス」から入ると楽です。希望条件をヒアリングしたうえで、自分の経歴に合うエージェントを何社か提案してもらえるので、ハズレを引きにくくなります。1社ずつ調べて登録して面談して……を繰り返すより、まず相談相手を1人つくる感覚で動いた方が圧倒的に消耗しません。

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よくある疑問(FAQ)

Q. 30歳超えてても未経験で入れますか? A. 入れます。30代前半〜半ばのポテンシャル採用は普通にあります。30代後半〜は「マネジメント経験」「特定業界知識」などの付加価値があるとぐっと入りやすくなります。

Q. SAP認定資格は転職前に取った方がいいですか? A. 必須ではありません。むしろ入社後に会社負担で取らせてくれるところが多いので、転職活動時はIT実務経験を語る方が優先です。

Q. ABAPが書けないとダメですか? A. ダメじゃないです。コンサル系職種ならABAPを書かないポジションも多いですし、Fiori/JavaScript側のスキルで入る道もあります。

Q. どんな会社に応募すればいいですか? A. 大手SIer(NTTデータ・電通総研・SCSK・TIS等)、ITコンサル(アクセンチュア・アビーム・クニエ等)、SAPパートナーの中堅Slerが主な候補です。会社によって担当範囲・年収・文化が大きく違うので、複数受けて比較するのがおすすめです。

Q. 面接で何を聞かれますか? A. 「なぜSAPなのか」「これまでのIT経験で何ができるか」「入社後どう成長したいか」のセットが多いです。SAP知識より、地力と意欲を重点的に見られます。

まとめ

  • 2027年問題でSAP人材は深刻に不足、別ソリューション出身者のポテンシャル採用が広がっている
  • 別ソリューションで身につけたデータ・API・クラウド・要件定義スキルはそのままSAP現場で武器になる
  • SCSKをはじめ大手SIer・ITコンサルが「IT経験あり/SAP未経験」枠を積極的に出している
  • 30代前半までならポテンシャル採用の対象、30代後半以降は付加価値スキルがあれば可能
  • 入社前はSAPの全体像と主要モジュールをざっくり押さえれば十分、認定資格は入社後でOK
  • SAPは長期で食えるキャリア、短期の学習負荷を払う価値は十分ある

SAP人材の不足はここ数年で一気に進んでいて、別ソリューション出身者にとっては追い風が吹いている時期です。気になっているなら、動き出すコストはそんなに高くないので、まずは情報を集めるところから始めてみてください。

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